今世紀は、気候変動をはじめとする地球規模の環境変化と多極化による国際情勢の不安定化が同時進行する時代に突入しました。2000年に採択された国連ミレニアム開発目標(MDGs)、2015年の持続可能な開発目標(SDGs)に表れているように、平和で持続可能な社会はすべての人類の共通目標です。SDGsが規定する2030年以降の世界を展望するとき、日本においては、日本国憲法の三大原則である国民主権、基本的人権、そして平和主義(戦争放棄の理念)が長期的な指針になると思います。これは独裁や専制君主制に対して市民が数百年におよぶ闘争の結果として獲得した民主的な価値であり社会の恒久的な基盤です。まさしく、日本国憲法は大航海時代の荒波をこえて日本国を目指すべき港へと導く航海の羅針盤であるとともに、暴風雨の中で国際社会を安全な場所に停泊させる錨(いかり)の役割を果たします。
また、平和は、持続的な経済社会活動の基盤です。イラン戦争によるホルムズ海峡危機が全世界におよぼしている影響を見れば明らかです。国民が飢えることなく健康に暮らせる、豊かで自由な社会でなければ、社会は分断・不安定化し社会平和は保たれません。戦争を永久に放棄した平和国家・日本としての基礎の上に、豊かな経済社会を築くことが大切です。経済力、技術力、外交力、防衛力、異文化理解力、そして日本文化と歴史が織りあわされて日本ならではの社会平和の模様が描きだされるのではないでしょうか。
これらは到達したい未来の社会像の一断面、スナップショットにすぎません。22世紀に向けてどのような航路をたどるのか、それは私たち一人ひとりの国民にかかっています。私たち一人ひとりが、市民、家庭人、企業・団体などの組織人、専門家、また政策決定者として、国内外を問わず、対話の輪を広げ、相互理解を深め、社会のニーズに応じた行動を積み重ねてゆくこと。これらの営みが未来社会への航路を拓いていきます。
世界に輝く平和国家

国内においては、日本国憲法の平和主義を礎に、戦争を永久に放棄し、対話と協調を通じて国際社会の信頼を築く平和国家としての歩みを願います。アジアと世界の安定と共生に貢献し、文化と歴史に根ざした品格ある国家として、世界に希望と安心を届ける存在であることを願います。国際協調を進めるためには、平和教育、異文化教育に加えて、主権者教育も発展させる必要もあります。「富国強兵」の戦前回帰ではなく、「富国恭平(ふこくきょうへい)」の持続的に成長する平和国家を実現したいと思います。激甚化する気候変動や自然災害への防災力の強化は未来志向の優先的課題と考えます。
持続的な経済と産業文明

経済成長と環境保全、文化の継承を調和させた新たな産業文明を築くための一助となります。人類と人工知能(AI)の関係性を絶えず検討・調整して技術革新と人間中心の価値観を融合し、物質的な豊かさだけでなく精神的・文化的な充実も実現する経済社会を目指します。食・農、エネルギー、医療・介護・福祉、研究教育、産業技術などのクリティカルな社会基盤とサービスをすべての人が享受できる環境を整えます。環境持続性(サステイナビリティ)、レジリエンス、安全保障(セキュリティ)を調和させて継続的に発展する経済社会、未来世代が安心して暮らせる社会の構築に貢献します。
包容力のある共生社会

すべての人が尊厳をもって生きられる社会を願っています。健康で文化的な生活が保障され、格差や分断を乗り越え、誰もが支え合いの中で安心して暮らせる「共生社会」を築く一助となりたいと思います。資本主義社会の中では政府の「政策」が果たす役割は甚大です。具体的な資源配分や利害調整の道筋を示し、互いの自由と権利を調整する公平かつ衡平な政策が必要不可欠です。これこそ、「政策のイノベーション」が必須である理由です。基本的人権・国民主権・平和主義を原則とする日本国憲法をさらに発展させる視点に立って、人間と生活の安全保障を進む一助となります。
